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実業家の考え方

三木谷浩史氏は、なぜスポーツビジネスで成功したのか

出典: 楽天株式会社

大きなビジョンを描くからこそ、スター選手を惹きつけられる!

2021年1月、東北楽天ゴールデンイーグルスに田中将大選手が戻ってきたことが大きなニュースになりました。1月30日に行われた入団会見の田中選手を見ると、理念をもって仕事されている方だということがひしひしと伝わってきます。契約内容や三木谷浩史オーナーが背番号18番を空けて待っていたというエピソードを聞くと、球団とも良好な関係が築けていると感じました。

三木谷浩史氏は、野球だけでなくサッカーのスーパースターからも信頼を勝ち得ています。2018年、三木谷浩史氏が当時オーナーを務めていたサッカーチーム、ヴィッセル神戸に、アンドレス・イニエスタ選手を招へいしました。

アンドレス・イニエスタ選手はスペインの元代表選手で、スペイン1部リーグの名門クラブであるFCバルセロナで大活躍したMFです。アンドレス・イニエスタ選手は、2010年に開催されたFIFAワールドカップで優勝、UEFAチャンピオンズリーグで4度優勝、スペイン1部リーグにて9度優勝など、数多くの実績をあげています。これほどの選手になると、契約金額の大きさだけで移籍を決断させることは難しいと思います。

三木谷浩史氏は、大きなビジョンを描き、それを実現している方だからこそ、ジャンルの違うスター選手と信頼関係を築けたと思います。今回は、楽天株式会社の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏のスポーツ事業に関する理念について紹介します。このブログでは、横浜DeNAベイスターズのオーナーである南場智子氏についても紹介しています。よければそちらもご覧ください。

楽天は、なぜ野球事業に出資・参画したのか

楽天が野球事業に出資・参画するに理由を語る上で、2004年に起きたプロ野球史上初のストライキは外せません。当時、近鉄バッファローズとオリックスブルーウェーブが合併することをきっかけに、1リーグ10球団にしようという話が一部のオーナーから出ました。この構想に選手会が反対し、2004年の9月18日、19日に行われる予定だった公式戦をストライキしました。

この問題をきっかけに、楽天がプロ野球に参入することが承認され、仙台に初のプロ野球球団が誕生します。チーム名は「東北楽天ゴールデンイーグルス」。三木谷浩史氏は、「東北地区をベースに愛されるチームを作りたく、6県に共通するので決めた」と語っています。

円陣を組むスポーツ選手たち

三木谷浩史氏は、スポーツは教育や地域振興において重要な役割を果たすと語っています。地域の活性化にも貢献することはもちろん、強いチームを創る、そして経営を健全化することも大事にしています。これらのことを柱に、東北楽天ゴールデンイーグルスは「私たちは、野球を通じて感動を創り、夢を与える集団である」ことを理念としています。

楽天は、なぜサッカー事業に出資・参画したのか

楽天がサッカー事業に出資・参画する理由の1つは地域貢献です。三木谷浩史氏は神戸出身で、阪神・淡路大震災で親戚や友人が他界される経験もしていることも背景にあるのかもしてません。

震災をきっかけに神戸をホームとするプロサッカーチーム、ヴィッセル神戸は危機にありました。2003年12月15日には、ヴィッセル神戸は東京裁判所に対して民事再生法の適用を申請します。誰かが引き取らなければ、ヴィッセル神戸は消滅してしまうような状態でした。

三木谷浩史氏は、当初はヴィッセル神戸を買収する気はなかったと語っています。しかし、故郷の神戸に恩返しをするためにヴィッセル神戸に出資することを決断。三木谷浩史氏がすぐれたところは、その後に経営を健全化させ、強いチームを作り上げたことだと思います。

2017年にFCバルセロナとのパートナーシップを結んだ件については、デジタルトランスフォーメーションの影響が大きいと語っています。デジタルトランスフォーメーション(以下、DXと略す)とは、経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジ タル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています。

スポーツも例外ではなく、競技者の膨大なデータの活用やオンラインによる試合やレクチャーの配信など、DXが大きな影響を及ぼしています。2018年に開催されたFIFAワールドカップ、ロシア大会は、世界で35億7,200万人が観戦したと言われています。映像・配信において、これ以上ない魅力的なコンテンツです。

描いたビジョンを達成する人は魅力的である!

山の頂きで達成を喜ぶ男性

三木谷浩史氏は、ビジョンを実現させるためにスポーツ事業に参入しています。楽天株式会社が掲げる「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」を達成するために、スポーツが人々を感動させる力を信じたのだと思います。

学生時代に部活でスポーツを一生懸命やった人、観戦することが好きな人なら、その力を信じることはできるはずです。ただ信じるだけでなく、志高くビジョンを描き、実現するために必要なことを着実にこなしていけることはすばらしいと思います。

こうありたいと望む未来に対して、目標を設定してそれを達成していくことができる人は魅力的だと感じました。だからこそ、私も求めているものに対して素直になって、実現のために一生懸命自分を磨いていきます。