
大阪万博が始まって、ゴールデンウィークに行かれた方も多いと思います。万人が楽しめるイベントというのは難しいですが、その問題に挑戦している団体があります。それがワクセルです。障がいの有無や年齢、性別、国籍に関わらず、誰もが自然体で参加できる空間を目指すワクセルの取り組みは、今まさに求められている社会の理想像を体現しているといえるでしょう。
コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくワクセル
ワクセルについては、このブログで何回か取り上げさせていただきました。ただ、この記事が初めての方もいらっしゃると思いますので軽く紹介いたします。
ワクセルでは、実業家、アーティスト、クリエイター、教育関係者など立場もバックグラウンドも異なる人たちが、“垣根を越えて”アイデアなどをコラボレートさせていきます。私自身も、ワクセルが発信するイベントやコンテンツを通じて、「一人の力では届かないところへ、協力すれば行ける」ことを実感しています。とくに印象的なのは、ワクセルが「多様性の尊重」を単なるコンセプトではなく、行動に移しているという点です。社会課題への感度が高く、実践を重ねている姿勢が、多くの参加者の共感を呼んでいるのだと思います。
すべての人が楽しめる新しい形の社会イベント
「ユニバーサルイベント」とは、年齢・性別・国籍・障がいの有無に関係なく、すべての人が参加し、楽しめるように設計されたイベントのことです。バリアフリーの設備はもちろん、言語対応や情報保障(字幕、手話通訳)、感覚過敏への配慮など、細部にわたる工夫が施されているのが特徴です。
イベントの現場では「なんとなく楽しめない人」が生まれてしまうことがよくあります。その背景には、物理的なバリアだけでなく、文化的・心理的な壁も存在します。だからこそ、ユニバーサルイベントには「誰ひとり取り残さない」という明確な意思が必要です。
私がこの考え方に共感するのは、「特別なことをする」のではなく「当たり前にする」視点があるからです。例えば、車いすの方がストレスなく移動できたり、聴覚障がいの方がトークイベントの内容をリアルタイムで理解できたりすることは、“配慮”ではなく“当然のこと”として扱われるべきです。ユニバーサルイベントは、そうした“あたりまえ”のハードルを一つずつ低くしていく取り組みでもあるのです。
ワクセルのユニバーサルイベント事例:『ユニバーサルイベント東京2025』に込められた思い
2025年4月29日(火・祝)、東京都大田区の田園調布せせらぎ館にて、ワクセルが『ユニバーサルイベント東京2025』を開催しました。このイベントは、障がいの有無に関わらず誰もが楽しめる場をつくるという理念のもとに、多様なプログラムと配慮が施された実践的なユニバーサルイベントです。イベントのゲストとして、デフリンピックの日本代表候補の方が参加されています。そこではトークセッションやデフスポーツの体験も行われました。
「ユニバーサル」という言葉が単なる理想やスローガンではなく、こうして“形”になっていることはすばらしいと思います。参加者同士が互いの違いに認め、尊重し合うことはこれからの社会に必要だと強く感じました。
ユニバーサルイベントは「共に生きる社会」の実践
「ユニバーサルイベント」とは、誰かのために“特別に”配慮するイベントではありません。それは、すべての人が“当たり前に”参加できる社会の一歩を形にしたものです。
ワクセルが主催するイベントは、その一歩を本気で、そして楽しさをもって実現しようとする取り組みです。インクルーシブという言葉が流行語で終わらないために、私たち一人ひとりが「誰もが主役になれる場づくり」に関心を持つことが必要です。
ユニバーサルイベントは、未来の社会の縮図です。ワクセルのような団体が広げる「誰もが輝ける空間」は、参加するすべての人に優しさと可能性を届けてくれます。そしてその空間は、思いがけず“自分自身の生き方”を問い直す場にもなるのです。