
2025年1月17日に日本公開された映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は、実業家であり、アメリカの現大統領でもあるドナルド・トランプ氏の若き日を描いた作品です。ビジネス界での成功の裏にある策略や、師と仰いだロイ・コーン氏との関係を通じて、トランプ氏がいかにして「ブランド」としての自分を作り上げたのかが明かされます。今回は、本作の見どころや背景、そして実際のトランプ氏との関連性について詳しく掘り下げていきます。
ドナルド・トランプ氏が大統領に就任する前のエピソード
本作は、トランプ氏の20代から40代までのビジネス人生を中心に描いており、成功の裏にあった影の部分や、強烈な個性を持つロイ・コーン氏との師弟関係に焦点を当てています。セバスチャン・スタン氏が若きトランプ氏を演じ、ロイ・コーン役には実力派俳優ジェレミー・ストロング氏が出演。監督はカリム・アミール氏が務めました。
映画のタイトルにもある「アプレンティス(Apprentice)」は、トランプ氏がホストを務めたリアリティ番組『The Apprentice(アプレンティス)』に由来しています。番組では、若手起業家たちがトランプ氏の下でビジネススキルを競い合い、「You’re fired!(お前はクビだ!)」という決めゼリフが話題になりました。本作は、そのタイトルを借りながら、彼自身が「成功する実業家」としてどのように形成されたのかを描くものとなっています。
ドナルド・トランプ氏が築いた「成功の方程式」
1. ロイ・コーン氏との出会い
本作の中心となるのは、悪名高き弁護士ロイ・コーン氏との関係です。ロイ・コーン氏は1950年代の赤狩り(マッカーシズム)で有名なジョセフ・マッカーシー上院議員の顧問弁護士を務めた人物で、冷徹かつ攻撃的な戦略を取ることで知られていました。
映画では、ロイ・コーン氏がトランプ氏に「攻撃こそ最大の防御」という戦術を叩き込み、いかにして敵を圧倒するかを教え込む様子が描かれています。彼の影響によって、トランプ氏は自身のビジネスでも、政治の舞台でも、強気の姿勢を貫くスタイルを確立しました。
2. ブランドとしての「トランプ」
トランプ氏は単なる不動産王ではなく、自らを「ブランド化」することで成功を収めました。本作では、彼がどのようにして「TRUMP」という名前を高級ブランドのように売り出し、不動産業界における知名度を高めたのかが描かれます。
彼の戦略は、派手な広告、メディアへの露出、そして「成功者」としてのイメージの徹底した構築にありました。映画では、この過程がリアルに再現されており、トランプ氏の自己プロデュース力の高さが浮き彫りになります。
3. ビジネスと政治の境界線
本作は単なるビジネス映画ではなく、トランプ氏が後に政治の世界へ進出する伏線を示す内容にもなっています。彼がどのようにしてメディアを利用し、敵対者を攻撃し、支持者を熱狂させる方法を学んだのかが丁寧に描かれており、彼の成功哲学が政治戦略にも応用されていることが分かります。
セバスチャン・スタン氏の熱演でよりリアルに感じなれるトランプ氏の光と影
『キャプテン・アメリカ』シリーズのバッキー役で知られるセバスチャン・スタン氏が、本作では若きトランプ氏を見事に演じています。特徴的なしゃべり方や仕草、表情まで細かく再現されており、トランプ氏のカリスマ性と野心を体現しています。
映画は、フィクション要素を交えつつも、実際の出来事を元にしているため、トランプ氏のキャリアの裏側を知る上で非常に興味深い作品となっています。特に、ロイ・コーン氏とのやり取りや、不動産業界での駆け引きなどは、ビジネス戦略に関心のある人にとって学びの多いシーンが満載です。
本作では、トランプの成功の側面だけでなく、その過程でのトラブルやスキャンダル、倫理的な問題なども描かれています。彼の強烈な個性と戦略が成功のカギである一方で、時に非情な手法を用いることもあったことが、リアルに映し出されています。
最後に
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』は、単なる伝記映画ではなく、ビジネスの世界での戦略、ブランド構築、そして成功の裏にあるダークサイドまでを描いた作品です。トランプ氏に対する賛否は分かれるかもしれませんが、彼のビジネス哲学や戦術を学ぶには非常に興味深い映画と言えるでしょう。彼がどのようにしてアメリカ社会の頂点に登り詰めたのか、そしてその背景にはどんなドラマがあったのかを知ることで、現代のビジネスや政治の仕組みをより深く理解する手助けになるかもしれません。機会がありましたら、ぜひチェックしてみてください!