
「ワクセル」という言葉を初めて聞く人も多いかもしれません。少し不思議な響きを持つこの名称には、実は“新しい生き方や働き方をつくり出すためのヒント”が込められています。現代は、会社や肩書きに依存する時代から、個人同士がゆるやかにつながり、価値を循環させていく“コミュニティ主導”の時代へと変化しています。
そんな潮流をいち早くつかみ、独自のコミュニティづくりに取り組んできたのが、実業家・投資家・映画プロデューサーとして幅広く活動する嶋村吉洋さんです。今回のブログでは、彼が発信しているコミュニティ論やビジネスの考え方を紐解きながら、私自身が感じたことも交えて、これからの働き方に生きる“コミュニティの力”について深掘りしていきます。
コミュニティ経済の時代へ
まず、嶋村さんは、自身の著書『人生100年時代を生き抜くための億万長者のコミュニティ資本論』において、「会社組織から、仲間(コミュニティ)の時代へ」という変化に注目しています。 つまり、従来型の企業・組織に依存する働き方や資産形成モデルが揺らぎ、自分自身で場を創り、仲間と共に価値を生み出していく――そんな時代が到来しているということです。
私自身も、かつて所属していた固定組織での働き方にどこか息苦しさを感じていたため、この“コミュニティへのシフト”という視点には非常に共感を覚えます。言い換えれば、「自分自身が小さな企業になれる」そして「信頼と共感を土台にした価値交換」が鍵になるということです。
コミュニティとは何か?その本質を考える
次に、嶋村さんが掲げる「コミュニティって一体何なのか?」という問い。著書では“ミクロの可能性を最大化する”と定義されます。 この定義を私なりに解釈するなら、コミュニティは「単なる集まり」ではなく、「共通の目的・価値観・信頼を軸とした環のような存在」であり、そこに参加することで個人の可能性が引き伸ばされる場なのではないでしょうか。例えば、皆で好きなテーマを語る飲み会レベルの“楽しさ”だけではなく、その後に「何を共に生み出すか」「どのようにお金や成果を循環させるか」が問われるということです。だからこそ、コミュニティをただ“楽しい場”に留めず「ビジネス資本/関係資本」に昇華させることが大切だと私は思います。
コミュニティを売上につなげる3ステップ
さて、実務的な視点で、嶋村さんはコミュニティを収益化・成長させるために下記のような3段階を示しています。
- ステップ1:内部消費(メンバー自身が買う)
まずは参加者・メンバーが自分たちの商品やサービスを購入・利用することで、収益の土台をつくる。例として、コミュニティの中で日常的に使われる美容室・カフェなどをメンバーが活用することで「お金が外へ流れず、内部で循環する」仕組みをつくる。
私の考えとしては、これは“まずは小規模でも自分のコミュニティの中で動き出す”という心理的安心感をもたらし、「あなたの存在が価値を持っている」という実感がメンバーに芽生えるという点で非常に強みだと思います。 - ステップ2:リファラル(紹介)による拡張
次に、メンバーから友人や知人を紹介してもらい、信頼を軸にした拡大を図る。友人・知人からの推薦が、テレビCMや広告よりもはるかに信頼されるというデータも紹介されています。
私の見解としては、「紹介」という行為は既存メンバーが自ら“このコミュニティに価値がある”と証言する行為そのものであり、そこで信頼が伝播するのだと感じます。つまり、商品・サービスそのもの以上に“場の信頼”が集客を左右しているわけです。 - ステップ3:一般市場への販売や拡大
さらに一般市場、つまりコミュニティ外の人々にも販売・活動対象を広げる段階です。そこで重要なのが「ブランドストーリー」「ターゲットの明確化」「オンライン×オフライン併用」などの視点。
私の考えを加えるなら、ここが“本当の意味でコミュニティがビジネス化された瞬間”であり、ここまで来ると「場づくり」から「価値提供」「ブランド構築」へと軸が移ると感じます。だからこそ、初期段階からこの視点を持っておくことが後の展開を左右すると思います。
まとめ
今回、嶋村吉洋さんが語る「コミュニティ」という考え方を、「ワクセル」というキーワードを起点に整理してみました。
- コミュニティは、集まるだけの“場”ではなく、価値・信頼・循環を生む“資本”になり得る。
- その構築には、まず内部消費、次に紹介(リファラル)、そして一般市場への展開という3ステップが有効。
- そして「場=ワクセル」のように、個人が主体となって参画・循環・発信できる構造を持つことが、次世代の働き方・生き方において鍵を握っている。
私自身も、これまで“所属”という感覚でコミュニティに関わってきましたが、今後は“参画し価値を生み出す”立場に立つべきだと強く感じています。嶋村さんの示す道筋は、まさにそのための実践的な羅針盤です。
皆さまも、「コミュニティ」という言葉を聞いたとき、まず「自分がどんな価値を持ち、誰とどんな循環をつくるのか」を問い直してみてはいかがでしょうか。